
「ナニワ金融道」を活字にした感じ
本書は、依頼人の資産を食い潰す弁護士の非行に接した著者が、
弁護士にあるまじき行為であると怒り狂い、
依頼人の弁護活動に留まることなく、
志を同じくする面々と共に戦線を形成して追及していく過程を描いたノンフィクションです。
ただし、弁護士である以上、
あくまで著者の追及は原則として法廷で行われていきます。
むろん様々な法廷外の駆け引きも興味深く描かれていますが…。
したがって本書を十二分に楽しむには、
民事法や弁護士自治についての知識が必要とされるでしょう。
法曹を志す方にとっては、本書は民事手続法や弁護士倫理の生きた教材となり得ます。
なお、個人的には、
入り組んでいく紛争や人物関係を整理するための図表を挿入していただきたかったです。
再読の際には、メモ帳などを手元に置き、
著者の戦った構図を再現しつつ味読しようと思います。