
行った気も、行きたい気も起きて来ない一冊
「旅」関係の本は大きく2種類に分けることが出来ます。紀行(例:深夜特急)と
ガイドブック(例:るるぶ・地球の歩き方)です。
人は前者にあたかも自分が旅に出かけた気分を味わえる(または思い出を想起させる
彼の地への訪問願望を興させる)ことを望み、後者には実用的な情報を求めるのです。
その視点でこの本を評価した場合……困るのです。筆者がどちらに軸を置いて書きた
かったのかが分かりません。
紀行として読むと「行った気」にもなりませんし「行きたい気」にも起きません。
ガイドブックとして読むと実用的な情報は各村への訪問方法(それでもパリから
電車で○時間、×駅下車後車で約1時間、という素っ気ない表記)や観光案内所と
ホテルの電話番号しか書かれてないのです。
この本では「フランスの最も美しい村々」という団体に属している144の村
(2003年時点)から26村を取り上げています。
本文によるとこの団体は申請すればどこでも入会出来る、という代物ではありません。
入会したらしたで今度は数年ごとに行われる資格更新審査に合格しないと会員の座を
守ることは出来ません。
それ程厳しい団体に属している村々なのです。当然、ルーブルやヴェルサイユと
同等の超メジャー級観光物件は無いでしょう。その代り旅行者が期待する「田舎の
風景」がそこにあるはずです。...